政府保証事業とは

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ザックリ
加害者が自賠責保険(共済)に加入していなかったり、ひき逃げにあった被害者に対して、健康保険や労災保険などの社会保険を利用したり、できることをやったけどまだ足りない場合に、最終手段として、法律で定められた限度額の範囲内で政府がその損害をてん補する制度です。この限度額は自賠責保険と同じで、傷害は120万円、死亡は3,000万円、後遺障害は障害の程度に応じて75万円~4,000万円となっています。


シッカリ

  • (前提として)自動車の運行によって生命又は身体を害されたこと
  • ひき逃げ事故の場合
  • 加害者が自賠責保険に入っていない場合
  • 加害者の車が盗んだものだった場合
これらについてもう少し詳しく説明していきますね。


まず、政府保証事業の対象になる場合が自動車損害賠償保障法で定められています。

自動車損害賠償保障法第72条1項

政府は、自動車の運行によつて生命又は身体を害された者がある場合において、その自動車の保有者が明らかでないため被害者が第3条の規定による損害賠償の請求をすることができないときは、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん補する。責任保険の被保険者及び責任共済の被共済者以外の者が、第3条の規定によつて損害賠償の責に任ずる場合(その責任が第10条に規定する自動車の運行によつて生ずる場合を除く。)も、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん補する。



上記太文字の部分で対象になる場合について触れられています。


自動車の保有者が明らかでないため被害者が第3条の規定による損害賠償の請求をすることができないとき

これは「ひき逃げ」のことです。ひき逃げ事故の場合、一瞬の出来事で運転者や自動車そのものを確認することができることは少ないでしょう。この場合、被害者からすれば誰に損害賠償を請求すればいいのかわかりません。ということで政府保障事業の対象となり救済してもらえるんですね。


責任保険の被保険者及び責任共済の被共済者以外の者が、第3条の規定によつて損害賠償の責に任ずる場合

これは「無保険」をのことです。自賠責保険に入っていない無保険車による事故や、盗んだ車による事故(泥棒運転)で保有者に運行供用者責任が生じない場合がこれにあたります。


保険に入っていない場合は当然のことながら、車を盗まれて事故を起こされた車の保有者は原則運行供用責任が発生しないので自賠責保険からの救済を受けることができないので政府保証事業の対象となります。


責任保険(共済)の被保険者(被共済者)以外の者が運行供用者責任を負担する場合とは,自賠責保険に加入していない無保険車による事故や,泥棒運転による事故で保有者に運行供用者責任が生じない場合がこれに当たります。


政府保障事業‐イメージ



政府保証事業の対象にならない場合

請求しても政府保障事業の対象にならない場合があります。ご自身の状況が以下に書かれたことにあてはまってないか一度ご確認ください。なお、以下に書かれた状況と少しちがったり、不明な点がある場合は、請求受付窓口などでお尋ね下さい。


1示談が成立し、履行も済んでいる
被害者と加害者の間で人身事故に関する示談が成立し、その示談の内容のとおりにすすめられ、治療費や休業損害、慰謝料など損害賠償金が被害者に支払われている場合
2自損事故によるケガ
自損事故でご自身がケガをした場合
3過失100%
被害者の過失が100%の事故の場合
4法定限度額を超えた支払いがなされている
健康保険や労災保険、損害賠償責任者を負った方が支払った額の合計が、法定限度額(自賠責保険(共済)と同じです。具体的には、傷害は120万円、死亡は3,000万円、後遺障害は障害の程度に応じて75万円~4,000万円)を超えている場合
5総損害額を超えている
被害者の重大な過失による減額、健康保険や労災保険などからの給付額及び損害賠償責任者支払額の合計額が、総損害額を超えている場合
6後遺障害が認定されなかった
後遺障害が残ったので申請したが、自動車損害賠償保障法に定める等級を認定されなかった(非該当)場合
7時効により消滅
時効により、政府保障事業に対する被害者の請求権が既に消滅している場合

8同乗中の事故
あなたが被害車両に同乗していて、その被害車両にも過失があり、被害車両の自賠責保険(共済)に請求できる場合
9複数の自動車が関連する事故
複数の自動車が関係する事故(例えば玉突き事故)で、そのうちのいずれかの自動車の自賠責保険(共済)に請求できる場合
10加害車両が自賠責保険の対象外
加害車両が自賠責保険(共済)の対象外車種である農耕作業用小型特殊自動車(小型耕運機等)や軽車両(自転車等)の場合



補償内容について

請求区分 支払い限度額
傷害 120万円
治療関係費、休業損害、慰謝料等
後遺障害 75万円~4,000万円
身体に残った障害の程度に応じた等級による逸失利益、および慰謝料。
死亡 3,000万円
葬儀費、逸失利益、被害者本人の慰謝料および遺族の慰謝料。

政府保障事業によるてん補金は、自賠責保険(共済)の支払基準に準じて支払われますので以下のリンク先をご覧ください。



請求することができる人(請求権者)

請求区分 請求することができる人
傷害 被害者または被害者から委任を受けた方
被害者が請求時点で未成年の場合、親権者(父母等)が請求者になります。
後遺障害 被害者または被害者から委任を受けた方
被害者が請求時点で未成年の場合、親権者(父母等)が請求者になります。
死亡 法定相続人および慰謝料請求権者(被害者の配偶者、子、および父母)
法定相続人および慰謝料請求権者が複数人いる場合は、原則として、そのうちのひとりが代表して請求者になり、 その他の方は代表者に請求を委任していただくことになります。


時効について

傷害 事故発生日から3年以内
後遺障害 症状固定日から3年以内
症状固定とは、症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった状態をいいます。
死亡 死亡日から3年以内

平成22年3月31日以前に発生した事故については2年ですので、上記表の「3年」の部分を「2年」と読み替えてください。

時効が間近な場合、各損害保険会社等の請求窓口にお早めにご相談ください。



請求に必要な書類

請求区分によってよって以下のリンクをクリックしてください。



どこに申請すればいいの?

ここに掲載されている損害保険会社(組合)以外でも受け付けています。詳しくは各損害保険会社(組合)にお問い合わせください。

+ リンクをクリックすると新しいタブ(またはウインドウ)で開きます。

あいおいニッセイ同和損害保険 日新火災海上保険
朝日火災海上保険 エース損害保険
日本興亜損害保険 損害保険ジャパン
富士火災海上保険 共栄火災海上保険
三井住友海上火災保険 ジェイアイ傷害火災保険
明治安田損害保険 全国共済農業協同組合連合会



請求から支払いまでの流れは?


+ 画像をクリックすると大きいサイズを表示します。

損害のてん補請求から支払までの流れ(イメージ)




自賠責保険との違いは?



政府保障事業によるてん補金は、自賠責保険(共済)の支払基準に準じて支払われるので同じようなものだと考えられています。しかし、自賠責保険と政府保障事業では以下の違いがあります。


1加害者請求できない
請求できるのは被害者のみです。加害者から請求できません。
2社会保険分を差し引かれる
健康保険や労災保険などの社会保険を使用しない場合は、社会保険を使用すれば給付されるであろう金額が差し引かれます。
3加害者へ求償
被害者へのてん補額については、政府がその支払金額を限度として、加害者(損害賠償責任者)に求償します。



政府保証事業の仕組み


政府保障事業(国土交通省)が損害賠償責任者(加害者や自動車の所有者など。わかりやすくするために以下、「加害者」)の代わりに被害者へ損害をてん補した場合、加害者は損害賠償責任を逃れることになるのでしょうか?それはおかしいですよね。


政府保障事業は、加害者の代わりに被害者へ損害をてん補することによって、本来、被害者が加害者に対してもっている損害賠償請求権を取得することになります。これを損害賠償請求権の「代位取得」といいます。このように代位取得したことにより、政府保障事業から加害者に請求していくことになります。


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政府保障事業の仕組み



よくある質問


Q政府保証事業から損害をてん補してもらったけど、そのてん補分では足りない場合、加害者へ請求できますか?

Aできます。交通事故によって発生した損害全体の一部を政府保証事業がてん補したにすぎないので、残りの分に関しては当然、加害者に請求することができます。


Q自宅マンションの駐車場に停めていたところ当て逃げされてしまいました。このような場合、政府保障事業はつかえるのでしょうか?

A使えません。政府保障事業は自賠責保険と同じで人身事故を対象にしているので物損事故は対象になりません。


Q請求から支払いまでどれくらいの期間がかかるのでしょうか?

A事案にもよりますが、3ヶ月~10ヶ月という状況です。これは事実関係の調査に時間がかかるからです。



お問い合わせ


政府保障事業について不明な点がございましたらこちらからお問い合わせください。

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