この記事を読むのに必要な時間は約 7 分 です。
この記事は以下のキーワードが気になる方のお役にたちます。
- むちうち
- 種類
- 症状
- 気持ち悪い
- 痛み・不快感
- 頭痛
- めまい
- 耳鳴り・難聴
- 手や足のしびれ
- 腰痛
- 何科?
- 治療法
- 薬物療法
- ブロック療法
- 理学療法
- 治療期間
むちうち損傷は治療することによって3ヵ月ほどで治癒することがほとんどですが、症状は様々で、半年以上治療を続けても後遺症として症状がのこってしまうことも珍しくありません。この場合、後遺障害の等級認定申請を考える必要があります。
後遺障害についてさらに詳しく
むちうちのはじまり
はじめに報告されたのは1928年でした。第一次世界大戦のときに戦艦から
飛行機が発進する際に大きな地図加速度がパイロットの首にかかることによって頭が前後に振られ、それによって首を痛めたといったものでした。この時の首の動きが、ムチを打ったときにムチがしなる動きに似ていることから「むちうち」と表現されるようになりました。
” むちうち ” という言葉についての誤解
「むちうち」という言葉について多くの方が診断名と想われていますが、そうではありません。では、なにかというと、「
受傷のされ方」ということになります。わかりにくいので例をあげると、上肢(肩から手の指先まで)がしびれるという症状が出た場合、「むちうちがきっかけとなって上肢のしびれが発生した」となります。ざっくり言ってしまうと、
症状が現れることになったきっかけということになります。
では、実際にどういう診断名がつかわれてるのかというと、頚椎捻挫、頸部挫傷、外傷性頸部症候群など色々あって統一されているわけではありません。
むちうち損傷ってなに?
ある報告によると「加速、減速メカニズムによる外力のエネルギーが首にかかる機序で、これは後方から、側方からの自動車の衝突の結果起こることもあれば、水泳の飛び込みやほかの事故に際しても起こりうる。衝撃は骨性あるいは、軟部組織損傷(むちうち損傷)を引き起こし、これが次第に多彩な臨床症状となることがある。」とされていますが、難しくてよくわからないし途中で読むのやめたくなりますよね。
なるべくイメージしやすいように簡単にいうと、「
首が前後に振られることによって首に衝撃が加えられ、そのことによって色んな症状を引き起こすもの」でいいと思います。
むちうち損傷にはどんな種類があるの?
むちうち損傷は一般的に4つに分類されます。その中でも代表的なものが「
頸椎捻挫型」と言われるもので、首の筋肉の異常により、首を動かすのに運動が制限されたり、動かすだけで痛いなどが主な症状となります。見通しは良好で、むちうち損傷のほとんどがこのタイプです。受傷してから3ヵ月ほどで治癒することが多いようです。この他に、「
神経根症状型」、「
バレー・リュー症候群」、前の2つを足した「
神経根症状型 + バレー・リュー症候群型」というものがります。
実際はこれらのように明確に分類することは難しいといわれています。それに分類によっての治療法も確立されていないうえに、胸郭出口症候群な脳脊髄液減少症の症状が見られるむちうち損傷があるといわれています。
むちうち損傷の症状にはどんなものがあるの?
急性期症状(受傷直後~1ヶ月位)
代表的な症状としては
首の痛み・不快感があります。これらの症状の特徴としては、事故直後には首の痛みや不快感はあらわれず、事故から数時間後、あるいは翌日以降あらわれることが多いと言われています。このように症状が時間差であらわれるので事故直後になにもないからといって無理や油断をせずに病院で診察をうけましょう。
治療としては安静と薬をつかうのが一般的です。
慢性期症状(受傷から3ヶ月以降)
首の痛み(頚部痛)
症状の中で首の痛みが一番多いと言われています。急性期の首の痛みは首の靭帯や椎間板などを損傷することや首の筋肉が以上に緊張することにより痛みがあらわれると言われていますが、慢性期の首の痛みについては不明な点が多いと言われています。
頭痛
頭痛は首の痛みの次に多い症状と言われています。後頭部の感覚を支配している首のしんけいが圧迫・炎症することによって頭痛があらわれると考えられています。
めまい
まめいには回転性のめまいと浮遊性のめまいがあります。むちうち損傷後にしばしば生じる症状のひとつだと言われています。頭痛、視力障害、腕の痛みやしびれ、耳鳴りなどの症状も一緒にあらわれると言われています。
眼の症状
神経が刺激・障害されることにより眼痛、眼球運動障害、視力障害、まぶたが上がりにくい(眼瞼下垂)といった症状があります。
耳鳴り・難聴
耳鳴りの多くは難聴を伴うと言われています。症状としてあらわれる時期は事故直後ではなく、2~4週間の間が多いと報告されています。
吐き気・嘔吐
吐き気(気持ち悪い)・嘔吐はほとんどの場合首の痛み(頚部痛)も一緒にあらわれる言われています。1ヶ月以内に症状が改善される場合もありますが、6ヶ月以上続く例もあります。
腕や手、足のしびれ・痛み
腕や手、足のしびれや痛みといった症状は事故から1週間以内にあらわれることが多い。原因としては神経が圧迫されて起こると言われています。痛みにより手足を動かさなくなり、結果的に筋力の低下につながります。
腰痛
腰痛はむちうち損傷の42%であらわれると言われていますが、どういうメカニズムでこのような症状があらわれるのか不明な点が多いとされています。
その他の症状
上記以外にこれらの症状があらわれると報告されています。
- 頭部・顔面のしびれ
- 不眠
- 集中力の低下
- 疲れやすい
- 微熱
何科にいけばいいの?
事故後、首が痛いなどの症状が感じられないとしても、まずは
整形外科を受診してください。なぜなにも症状が感じないのに受診したほうがいいのかというと、むちうちによる症状は事故直後よりも数時間後、あるいは翌日以降にあらわれることが多いからです。
このとき、レントゲンだけではなくMRI検査も受けておきましょう。レントゲンは骨の異常を調べるのに向いていますが、MRIは脊髄、靭帯、椎間板、神経根などの異常を調べるのに有効です。
どんな治療をするの?
注意:ここでは一般的な治療法を紹介しています。詳しくは担当医師にご相談ください。
安静
症状が軽い場合は安静にして様子をみることになり
湿布を処方されます。症状が強いときには頚椎カラー(テレビなんかでよく見る首につけるコルセット)を処方されることがありますが、軽症の場合は頚椎カラーを使用することにより活動性が低下して首の筋肉が弱まると考えられているので処方されることはほとんどないでしょう。休養も1~2週間ほどにして少しずつ日常生活に体を慣らしていくのが良いと考えられています。
薬物療法
シンプルな頸部(首)の捻挫の場合、急性期(受傷直後~1ヶ月位)にハッキリとした痛みがあるときには
消炎鎮静剤[?]を、頸部(首)の可動域制限があるときには
筋弛緩剤[?]を併用して使用されることが多いようです。
消炎鎮痛剤
消炎鎮痛剤とは、いわゆる痛み止め。炎症や痛みを抑えます。
筋弛緩剤
筋弛緩剤とは、神経などに作用して筋肉の動きを弱める薬のこといいます。
ブロック療法
ブロック療法とは痛みに関係する神経やその周辺に
局所麻酔をして痛みや筋肉の緊張をとり、血行をよくしたり炎症をおさえたり、自律神経の機能改善をおこないます。代表的なものとして以下のような種類があります。
- トリガーポイント注射
- 星状神経ブロック
- 椎間関節ブロック
- 後頭神経ブロック
理学療法
理学療法には大きく
物理療法と
運動療法の2つにわけることができます。
物理療法
物理療法とは、体に対して
熱、電気、圧迫、振動などの物理的な刺激を加えることによって回復を促し正常化しようとする治療法です。
運動療法
運動療法とは、日常生活へ復帰するために重要になります。痛みのせいで体をほとんど動かさずに過ごしていると関節の動く範囲がせまくなり、動かすときに痛みを伴うようになることを防止する目的があります。
可動域訓練や筋力の強化などをおこないます。
治療期間
むちうち損傷の治療期間は症状によってちがいがありますが、症状が軽い場合多くの方が
受傷してから3ヶ月以内に治癒すると言われています。しかし少ない割合ではありますが6ヶ月以上かかる場合もあります。
まとめ
- 「むちうち」とは、診断名ではなく症状があらわれるきっかけのことで、首が前後に振られることによって首に衝撃がくわえられ、それによって様々な症状をひきおこすものをいいます。
- むちうちには「頚椎捻挫型」「神経根症状型」「バレー・リュー症候群」「神経根症状型 + バレー・リュー症候群型」の4つに分類されます。
- むちうちには首の痛み、頭痛、めまいなど様々な症状があり、治療方法もその症状によって安静、薬物治療、ブロック療法、理学療法などがあります。
- まずは整形外科を受診してください。
- むちうちは症状が軽い場合が多く、ほとんどの場合受傷してから3ヵ月以内に治癒するといわれていますが、もちろん例外もございます。
むちうちの後遺症でお悩みですか?
むちうち損傷は「目に見えない後遺障害」とも言われ、一般的に後遺障害等級に該当しないと判断されることが多いと言われています。しかし、そこにある事実をきっちりと証明することでむちうちの後遺症は後遺障害として認めてもらうことが可能です。スマートサポートは後遺障害専門の行政書士事務所です。相談していただくタイミングに早すぎるということはありませんのでお気軽にご相談ください。